前回の クオリティを上げる! でQSCの中の Q=クオリティ(品質・状態)を
PDSAサイクルでどんどんレベルを上げていく手法をご紹介しました。
今回のテーマは C=クリンリネス(清潔さ)を
同じく高いレベルで維持する方法を説明していきます。
※順番は変わりますが、S=サービス(接客・サービス)は明日掲載予定…。
C=クリンリネス(綺麗さ)とは?
これも実は企業によって呼び名はマチマチで、「クリンネス」「クレンリネス」など、
もちろん様々な深い意味は込められたものではありますが、だいたいの意味は同じで、
清掃する ことではなく 綺麗にする こと
が強い違いだと紹介されることが多く、清掃することを意味にしてしまうと、
掃除はしている でも 汚い
がまかり通ってしまうため、プロセスよりも結果を重視し、逆に言えば、
結果を出せるようなプロセスを作っていくのが正解です。
基本的なプロセスの作り方はクオリティ同じ
ある意味、クリンリネスは大きな意味ではお店のクオリティの一部で、
接客であるサービスもそうだと言えると思います。
なので、最初のとっかかりは お客様アンケート の結果から…が良く、
評価の低いところを重点的に解決できるように 清掃用のチェックリストを
改善していく流れです。
では、クオリティチェックとの違いは何かと言うと、クリンリネスでは、
お客様のご意見を頂戴するまでもなく、そもそもやらないといけない項目や
ボリュームがある程度分かっているということです。
例えば、お店の規模を問わず、開店前には入口や駐車場の掃き掃除は必須ですし、
トイレ、フロア、カウンター周りも毎日やるべきなのは誰でも分かります。
クオリティに比べると、家庭など、日常生活でも行うことなので、80%ぐらいの
項目は事前にかき出すことができます。
あとはアンケート結果で出てきた項目で、リストに加わっていなかったものを
加筆していくやり方です。
頻度や範囲を変えて工夫する
クオリティと同じく、無限に人や時間を使えばいつも最高の状態で
いられるかもしれないQSCですが、実際にはそういう訳にもいかず、
最低限許された人数・時間で、高いレベルの要求をクリアする必要
があるので、自分たちの眼や、アンケート結果、お客様の声などを
ヒントに、日々のクリンリネスの実施頻度や範囲を変化させていく
必要があります。
CLEAN AS YOU GO クリーン・アズ・ユー・ゴー)の精神
マクドナルドの創業者、レイ・クロックの言葉で、今も従業員教育に採用している
企業も多い、
「行くところをすべてきれいにする」
という、清掃時間以外にも、作業中や売り場やバックヤードの移動経路などでも、
気づいたら綺麗にする…という考え方です。
例えば、スタッフ全員にハンドモップと呼ばれるハンディタイプのほこり取りを携帯
させて、気づいたら即綺麗にすることができたり、売り場作業を行う時のカート自体
に簡易清掃用具をセットしている工夫なども見かけます。
トイレなどは、スタッフが利用した際に1分間のスピード清掃を行うためのチェック
リストをバインダーで綴じて壁にあえて飾るなど、お客様へのアピールにもなる手法
を取り入れている店舗も見かけます。
普段やらないところは閑散期の初月に実施!
たとえば、ワゴンや棚の足や、ガラスの上部、蛍光灯のホコリなど、
普段のメニューには入っていない部分の清掃は、全員参加で実施する
のがベスト!
でも、意外と繁忙期直前にやろうとすることが多いと
思います(7月上旬とか、クリスマス前とか…)が、実はあまりおすすめ
ではありません。
それは、繁忙期直前の時期は すでに忙しい ことが多く、
結果的に大掃除できなかった…という結果が可能性としてあるから。
比較的、運営にも余裕があり、人を集めやすいのは閑散期に突入したばかり
の3月や9月で、ちょうど他の理由もあり、このタイミングはおすすめです。
避難訓練・防災訓練に合わせる
3月11日は東日本大震災 、9月1日は防災の日
多くの企業がこの2回に合わせて避難訓練や防災訓練を実施することが
あると思います。
火災や避難とお店の清掃状況には、密接な関係があります。
例えば避難経路にモノが置いてあったり、電源コードがタコ足になって
いてホコリまみれだったり…。
これらが原因で大きな事故につながる可能性があるため、全員参加で
大掃除を行うストーリーとして、この訓練までを一つの流れとし、お客様
の安全確保まで目的の一つにしてしまうのがベストだと思います。
お店で行う集団活動は、チームワークにもつながりますので、
ぜひ、ただ義務感で行う掃除でとどめるのではなく、もうひとつ先の
目的を共有した上で、クレンリネスを前向きに行いましょう。
最後に…
このクレンリネスの考え方の中で、往々にして私自身もすぐに忘れてしまう
大切な視点があります。
それが 弱者の目線になること です。
弱者という表現は適切ではないと思いますが、ここで伝えたいことは、
子供 妊婦 障がい者 お年寄り
など、我々スタッフや、お客様アンケートでは決して見えてこない不安や
不満が解消されていない可能性があります。
たとえばトイレのベビーベッドの状態や、車いす用の手すりの状態、通路幅
や、視点を低くした時のお店の汚さ…など、普段のクリンリネスでは決して
含まれていない視点がないかは、スタッフ全員でアンテナを立てて、声を
拾ったり、注意深く様子を見ることで改善していきましょう。
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